(2025年6月2日更新)
<h1>iDeco(イデコ)とふるさと納税を併用すると損する?控除上限額をシミュレーション</h1>
<h2>iDecoとふるさと納税は併用可能</h2>
私的年金制度として注目を集めるiDeso(イデコ)は、ふるさと納税と併用可能です。
どちらも税金控除を受けられる制度のため「併用すると損する」と勘違いしている人もいるようですが、結論から述べると、iDecoとふるさと納税は併用しても損することはありません。
ただし、いくつか注意点もあるため詳しく解説します。
<h3>そもそもiDecoとは?</h3>
iDecoとは、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に給付を受けられる、個人が自分で積み立てる年金制度です。毎月一定の掛金を積み立て、それを元に投資運用を行い、将来の老後資金を作ります。
公的年金とは違い任意で加入でき、申込・掛金の拠出・運用を自分自身で行い、掛金と運用益の合計額をもとに給付を受けられます。
iDecoは、掛金の拠出時・運用時・受取時のタイミングで税制優遇を受けることが可能です。
-
拠出時
掛金全額が所得から控除され、所得税や住民税を減らせる
-
運用時
通常なら投資利益には20%の税金がかかるが、iDecoの運用益は非課税
-
受取時
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」の控除を受けられる
iDecoを利用すると、税金を減らしながら老後に受け取る資金を効率よく増やすことができます。
<h3>そもそもふるさと納税とは?</h3>
ふるさと納税とは、任意で選んだ自治体に寄附を行う制度です。寄附金額のうち2,000円を超える部分が、所得税や住民税から控除されます。
ふるさと納税をしても税金そのものが減るわけではなく、節税・減税効果はありません。しかし、自己負担額2,000円で返礼品がもらえるお得さが、人気を集めています。
寄附を行うと、各自治体の特産物などを返礼品として受け取ることができます。食品・雑貨・消耗品などの返礼品を選択でき、家計の助けになる点が魅力です。
通常通り自分が居住している地域に納税する場合は、返礼品を受け取ることはできません。同じ税額を納めつつ、返礼品も受け取れる点がふるさと納税の魅力といえます。
ただし、ふるさと納税は控除上限額が決められており、上限額を超えて寄附を行うと自己負担額が増えてしまいます。
控除上限額は、所得や家族構成によって決まり、所得が多いほど上限額が高く所得が少ないほど上限額が低く設定される仕組みです。
<h2>iDecoとふるさと納税を併用して税金が減る仕組み</h2>
iDecoとふるさと納税を利用して税金が減る仕組みは以下のとおりです。
-
所得控除として「ふるさと納税の寄附金額」と「iDecoの掛金」が控除される
-
課税所得が決まり所得税と住民税が確定
-
住民税から「ふるさと納税の寄附金額」が控除される
iDecoとふるさと納税を併用すると、所得控除としてふるさと納税の寄附金額とiDecoの掛金が控除されます。これにより課税所得が減るため、所得税の金額も少なくなります。
また、住民税からはふるさと納税の寄附金額に応じて税額控除を受けることが可能です。
<h2>iDecoを併用するとふるさと納税の控除上限額に影響する</h2>
ふるさと納税の控除上限額は、課税所得をもとに決まり、課税所得が高いほど上限額が高くなります。しかし、iDecoを併用するとiDecoの所得控除により課税所得が少なくなるため、ふるさと納税の上限額も少なくなってしまうのです。
iDecoとふるさと納税を併用した場合の控除上限額をシミュレーションしてみました。
<h3>併用した場合の控除上限額をシミュレーション</h3>
iDecoとふるさと納税を併用した場合の、ふるさと納税の控除上限額の目安は以下のとおりです。
独身または共働きの場合
年収/iDeco掛金
|
掛金なし
|
月12,000円
|
月23,000円
|
300万円
|
28,000円
|
24,000円
|
21,000
|
400万円
|
43,000円
|
38,000円
|
35,000
|
500万円
|
62,000円
|
57,000円
|
54,000
|
600万円
|
77,000円
|
73,000円
|
70,000
|
700万円
|
c
|
104,000円
|
100,000
|
夫婦(配偶者控除あり)+子供(高校生・16歳以上19歳以下)1人の場合
年収/iDeco掛金
|
掛金なし
|
月1万2,000円
|
月2万3,000円
|
300万円
|
11,000円
|
10,000円
|
7,000
|
400万円
|
25,000円
|
25,000円
|
21,000
|
500万円
|
40,000円
|
40,000円
|
37,000
|
600万円
|
60,000円
|
59,000円
|
55,000
|
700万円
|
78,000円
|
76,000円
|
73,000
|
参照:税金の控除について|総務省ふるさと納税ポータルサイト
例えば、独身もしくは共働き夫婦の場合、寄附する本人の年収が300万円でiDecoを利用していないと控除上限額は2万8,000円となります。しかし、iDecoの掛金を月2万3,000円としていると、控除上限額は2万1,000円まで引き下がってしまいます。
このうち、2,000円は自己負担となるため、それぞれ以下の所得控除を受けることとなります。
・iDecoを利用していない場合:2万6,000円
・iDecoの掛金が月1万2,000円の場合:1万9,000円
・差額7,000円
このようにiDecoを併用すると控除上限額が減ってしまうため損しているように感じます。しかし、控除上限額の差が数千円あったとしても、iDecoの節税効果を得られて、さらにふるさと納税の返礼品を受け取れるのであれば、併用した方がメリットは大きいといえます。
<h2>iDecoとふるさと納税を併用する流れ</h2>
iDecoとふるさと納税を併用する場合は、それぞれ申し込みを行い、税金控除を受けるための手続きを行う必要があります。
最後に、iDecoとふるさと納税の申し込みから税金控除を受けるまでの手続き方法を解説します。
<h3>iDecoの手続き方法</h3>
iDecoは、金融機関で申し込むことが可能です。運用を始めると、原則60歳までは引き出しができないことに留意し、利用を検討してください。
手続きの流れは以下のとおりです。
-
加入資格があるか確認(対象年齢など)
-
iDecoを申し込む金融機関を選択する
-
限度額の範囲内で掛金額を設定する
-
運用する商品を選ぶ
<h3>ふるさと納税の手続き方法</h3>
ふるさと納税は、寄附したい自治体の公式サイトや、ふるさと納税のポータルサイトから申し込み・寄附ができます。
前述したとおり、ふるさと納税は控除上限額を超えて寄附してしまうと、自己負担額が増えてしまいます。自己負担額を2,000円に抑えられるように寄附金額を調節するようにしてください。
また、ふるさと納税は寄附を行うだけでは税金控除を受けられません。寄附した翌年の期日までに「ワンストップ特例制度」もしくは「確定申告」の手続きを行う必要があります。
<h4>ワンストップ特例制度</h4>

引用:ふるさと本舗
-
ふるさと納税を行う(5自治体以内)
-
「ワンストップ特例制度の申請書」を寄附した自治体全てに提出する
-
寄附した翌年の1月10日までに手続きを済ませる
-
寄附した翌年の住民税が控除される
ワンストップ特例制度を利用できるのは、「1社のみから給与所得を得ている人」「1年間に寄附した自治体数が5自治体以内の人」のみです。
上記に該当しない場合は、確定申告を行う必要があります。
<h4>確定申告</h4>

引用:ふるさと本舗
-
ふるさと納税を行う
-
寄附した翌年の2月16日〜3月15日までに確定申告を行う
-
ふるさと納税した年の所得税が控除される
-
寄附した翌年の住民税が控除される
個人事業主や不動産収入がある人、1年間に寄附した自治体数が6自治体以上の人は、確定申告を行う必要があります。手続きを行わないと税金控除を受けられないため注意が必要です。