(2006年11月1日更新)
国の三位一体の改革では、3兆円規模の税源移譲を前提とはするものの、4兆円規模の国庫補助負担金の削減や5兆円規模の地方交付税の削減が行われたところであり、平成19年度以降の歳出歳入一体改革でも、地方交付税の更なる改革が進められる見通しのなか、本市をはじめ自主財源の少ない多くの地方自治体の財政状況は、今後も予想をはるかに上回る規模での財源不足に陥る見通しであり、これまで以上に非常に厳しい財政運営を強いられるのは必至です。
このような状況の象徴として、6月に新聞報道された北海道夕張市の財政破綻はもとより、近隣においても赤字決算を強いられている自治体が現に出てきている状況は、旧産炭地域で自主財源の少ない本市も例外なく赤字決算、さらには財政破綻に追い込まれる可能性を示唆するものであり、さらなる行財政改革に取り組み、財政の健全化に努めることが急務です。
そこで、平成19年度の予算編成にあたっては、各部課による自主的な事務事業の評価を基に、発想を大胆に変え、また、やり方に創意工夫を加えるなど既存の事務事業の徹底的な見直しを促すことで、厳しく限られた財源の中で住民の要望に応え、行政サービスの維持・向上に努めていくために、昨年度に引き続き「予算枠配分方式」を採用することとします。
この予算枠の配分は、枠という制限を設けることになるが、事業費の一律削減といった安易で消極的な対応を行うことは厳に慎み、むしろ財源の厳しい制約を既存事業の抜本的な見直しの契機ととらえ、事業の質的転換に積極的に取り組むことが重要です。
困難な時代であればこそ、新しい考え方が生まれ、考え方を変えていく好機です。今、行政のあり方そのものが問われている時代であり、「市民との協働」という視点を強化していく中で、当然、事務事業のあり方も問われ、また、これからの時代のために新しい必要な施策を見出すことが求められています。
このことから、前例踏襲や現状維持という発想を排除した取組みを推奨し、財政の危機的状況を踏まえ、もう一度、市政の事務事業が、市民のために行うものであること、行政施策の企画立案、実施がこの大前提を踏まえているかを自らが常に問いかけ、職員が一丸となって、市民のための行政運営にあたるよう部内、課内の議論を活発にし、情報の共有を図りながら、予算編成に取り組むものです。
1.基本的な事項
- 予算要求にあたっては、年間の必要経費を把握するため、全ての事務事業に係る年間経費について見積もることとし、見積もる年間経費は、平成19年度事業実施方針協議並びに経営戦略会議にて決定された別に示す一般財源枠配分額の範囲内に調整するものとします。
また、年間経費を見積もる際に予算編成の指針となるべき国・県の予算、制度等が未確定の場合にあっては、原則として現行制度を前提にするものとします。
- 年間経費の一般財源枠配分額の範囲内への調整は、平成19年度事業実施方針協議並びに経営戦略会議にて示された方向性や指示事項を遵守し、それぞれの部(事務局、委員会)が主体的に行うものとします。
また、一般財源枠配分額の範囲内への調整を行った結果、最終的に枠外(いわゆる不採択、廃止、休止)となった事業については、予算措置を行わないものとします。
- 平成19年度事業実施方針協議並びに経営戦略会議にて示された方向性や指示事項を遵守し、一般財源枠配分額の範囲内に調整され見積もられた事務事業で、当初予算要求基準や予算要求に係る基本的事項等財政課が示す要件を満たしていれば、原則として財政課による調整は加えないものとします。
ただし、12月中旬に発表される「平成19年度地方財政計画」により、歳入見込に大きな変動(歳入減)が生じた場合には、要求額の一括シーリングを含め、従来どおりの調整(査定)を実施するものとします。
- 「インセンティブ予算」制度により追加配分された一般財源の範囲により見積もられた事業経費は、原則として財政課による調整は加えないものとします。
- 当初予算の編成にあたっては、一般財源枠配分額の範囲内に調整された年間経費のうち、当初からの予算措置が必要、若しくは妥当であると判断される経費についてのみ予算措置を行うものとします。
インセンティブ予算制度
背景、目的
地方財政を取り巻く環境が年々厳しさを増すなか、限られた財源の有効活用を図るツールとして「予算枠配分方式」を実施するにあたり、既存事業の見直しや事務事業の効率化を更に効果的に進めていくためには、各部課等が主体性を持って予算の節減に取り組む状況や配分された予算を自由な裁量により編成できる環境の醸成が重要となります。
そこで、各部課等において予算執行方法の見直しを行い、創意工夫により予算執行額を節減した場合は、その額の一部を翌年度予算においてインセンティブ付与として再配分し、各部の自由な判断により他の事業に活用できる仕組みを構築します。
基本的な考え方
- 創意工夫の予算執行で経費節減を図ります。
- 「予算は(使い切りではなく)限度額」という考えの徹底で、職員の意識改革を図ります。
- 節減額の内容評価による翌年度予算の追加配分(インセンティブ付与)により、各部課等の主体性の醸成を図ります。
制度の仕組み
インセンティブ付与額および再配分対象事業の要件
(1)インセンティブ付与額
- 節減計画における創意工夫、見直し内容を別紙評価基準に基づき評価し、節減額の50%以内をインセンティブ付与額として、各部の翌年度予算配分枠に追加配分します。(一般財源ベース)
- インセンティブ付与額は、1件(事務事業)あたり5,000千円を限度とします。
(2)再配分対象事業の要件
- インセンティブ付与として追加配分された一般財源は、原則として各部の自由裁量により、平成19年度予算要求において所管する事務事業への再配分を行うものとします。
制度に係る対象範囲及び評価基準
(1)対象範囲
- 平成18年度における予算執行段階で、当初の事業目的を十分に達成するなかで、業務実施方法の見直しなど、主管部課の創意工夫により予算の節減を行うもの。
- 節減計画に係る対象経費は、人件費を含む全ての経費とし、削減効果の対象は一般財源のみとします。
- 制度に係る節減内容は、以下にある評価基準に合致するものに限り、次のものは対象外とします。
- 義務的な経費(扶助費等)で、主管部課の努力や創意工夫以 外の要因で予算減額するもの。
- 単なる契約差金、入札差金として予算減額するもの。
- 予算計上額を過大に見積もっていたと認められるもの。
- その他節減努力や計画的な執行、創意工夫によらない単なる決算不要額となるもの。
- 節減計画に基づく節減額は、3月補正で全額を減額補正するものとします。
評価基準図
プロセス
予算節減計画の報告(各部、課) ⇒ 予算節減計画のヒアリング、査定(財政課、市長) ⇒ インセンティブ付与額の通知(財政課⇒各部、課)