(2025年2月14日更新)
概要
成年後見制度とは、認知症や知的障がい、精神障がいなどによって物事を判断する能力が不十分な人が不利益(正しい判断ができずに不利益な契約を結び消費者被害に遭うなど)を被らないように、家庭裁判所が選任した代理人が財産管理や契約行為を支援する制度です。
代理人は成年後見人等(後見人、保佐人、補助人)と呼ばれ、本人の意思や希望などを尊重し、本人に代わって法律行為を行うことで、制度を利用する人が安心して生活できるような支援を行います。
成年後見制度には判断能力が不十分になった時に備える『任意後見制度』と、すでに判断能力が不十分な場合に利用する『法定後見制度』があります。『法定後見制度』については、本人の判断能力によって3つの類型(後見、保佐、補助)に分類されます。
詳しくは、法務省「成年後見制度~成年後見登記制度~」をご覧ください。
法定後見制度
判断能力が不十分で、契約などの法律行為が行えない場合に、本人の権利を守る制度です。本人の判断能力に応じた保護の必要性によって、次の3つの類型があります。
類型
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本人の状態
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支援する人
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後見
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精神上の障がいにより、判断能力を欠く常況にある者
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成年後見人
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保佐
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精神上の障がいにより、判断能力が著しく不十分な者
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保佐人
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補助
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精神上の障がいにより、判断能力が不十分な者
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補助人
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法定後見制度を利用するためには、本人の住所地を所管する家庭裁判所に申立てをします。申立てができる人は、本人、配偶者、4親等内の親族、検察官などですが、身寄りがない等の理由で申し立てる人がいない場合は市町村長が申し立てることができます。
後見人等の内容は家庭裁判所から嘱託を受けた東京法務局が登記を行います。登記事項証明書の請求ができるのは本人、その配偶者・4親等内の親族、成年後見人などの一定の人に限られるため、プライバシーの保護にも配慮されます。
なお、後見人等への報酬額は家庭裁判所が、後見事務等の内容、資産等を考慮して決定します。
また、家庭裁判所が、必要に応じて成年後見監督人等(成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人)を選任し、後見人等の事務の監督を行わせます。
任意後見制度
任意後見制度とは「元気なうちに、もしもに備えて財産管理を任せる人を決めておきたい」「知的障がいのある子どものために、財産の引渡しや施設への入所など、将来のことを決めておきたい」など、将来に備えて判断能力があるうちに、支援してほしいことや、自分に代わって法律行為をする人(任意後見受任者)を決めて、あらかじめ契約しておく制度です。
任意後見制度利用の手続き
判断能力があるうちに行うこと
- 任意後見の内容(将来どんなことをしてほしいか)と任意後見受任者を決めます。
- 本人と任意後見受任者は、公証役場に出向いて、任意後見の内容について公正証書により契約します。公正証書の内容は、東京法務局に登記されます。
判断能力が不十分になったら行うこと
- 任意後見制度を利用するために、家庭裁判所に任意後見監督人を選任してもらう申立てをします。申立てができる人は、本人、配偶者、4親等内の親族、任意後見受任者などです。
- 任意後見監督人が選任されると同時に、任意後見業務が開始されます。
成年後見制度利用支援事業
伊万里市では身寄りがないなどの理由で親族等による法定後見制度の申立てが期待できず、費用負担もできない方について、市長が家庭裁判所に法定後見制度の申立てを行い、申立てに必要な費用を負担します。また、後見人等が選任された後の報酬の支払いが困難な方に対して報酬の一部または全部を助成します。
詳しくは、成年後見制度利用支援事業をご覧ください。