前田家住宅は西円蔵寺(にしえんぞうじ)地区にあります。前田家は、江戸時代に代々、伊万里郷の大庄屋(おおじょうや)をつとめました。屋敷地は南北に細長く、約1,000坪ほどあります。
主屋は、そのほぼ中央にあり、江戸時代後期に建てられたものです。南を正面とし、西側を道路に接しています。木造平屋建(もくぞうひらやだて)で、建築面積約291平方メートルと民家建築では県内でも最大規模です。屋根は茅葺(かやぶき)で、佐賀県の民家を特徴づける「くど造り」の最も発達した姿を伝えています。
そのほか東の蔵は江戸時代後期、西の蔵は明治時代後期、北の蔵も明治時代後期に建てられたものです。それぞれ土蔵造平屋建(どぞうづくりひらやだて)で、建築面積は東の蔵が約51平方メートル、西の蔵は約139平方メートル、北の蔵が約61平方メートルです。
薪小屋(たきぎごや)は明治時代後期に建てられました。木造平屋建で建築面積は約30平方メートルです。水車小屋は江戸時代後期に建てられ、明治時代後期に改造されています。木造平屋建で建築面積は約57平方メートルです。屋根はすべて瓦葺です。
伊万里郷大庄屋の建物として、また大規模民家の全体構成や機能などを知る上で貴重であり、さらに建物自身も建築学的に高く評価されています。
また、平成17年11月には、地域を象徴する建造物で県民の貴重な資産であり、22世紀までも残していくべきものとして、佐賀県遺産としても認定されています。
*第1、3木曜日、第2、4土曜日の13時~17時に所有者の方により公開されています。