(2022年3月31日更新)
私たちは幸せになるために生まれてきました。
日本国憲法もすべての人の幸せを保障しています。
しかし、私たちが暮らすこの社会には、幸せを妨げる様々な生活課題が存在しています。
人権問題もその一つであり、一日も早く解決しなければいけません。
私たちの身近な人権問題をショートストーリーで紹介します。
どうぞ、ご覧ください。
じんけんかわらばん 3月号「対等の輪をひろげましょう ~今、明るい未来への分岐点で~」
農作業を終え、見上げる秋の夕暮には、一幅の絵を見るような風景が広がっています。
多彩な雲たちをちりばめた空は、鮮やかな色づかいのキャンバスのようです。
耳には、チリリーンとすんだ音色が。スズムシでしょうか?
この美しい風景を生み出してくれる自然、大げさに言えば地球に感謝です。
ただ、近年その地球環境が、私たち人類、さらには生物界の存在を脅かす状況にあります。
農薬や化学肥料を使わずに野菜を育て、梅雨の頃や真夏の雑草がグングン伸びる時期にも、
除草剤に頼らずに歯を食いしばりながら草払いに励みます。
しかしながら、私たちの生命を育む食料生産も地球温暖化の大きな要因の一つであることを知りました。
地球温暖化がもたらす異常気象。これ以外にも私たちの暮らしを脅かすさまざまな環境問題があります。
たとえば、一つは食料の需給問題。二つめにプラスティック汚染。
これらは、人権問題に大きくかかわっています。
世界各地から集められた豊かな食材が私たちの食卓を飾ります。
一方では対照的に、世界で7~8億人の人々が飢餓状態にあると言われていますが、
日本で廃棄される食料で、約2億人の命を救うことができます。
今地球上で生産される食料は、世界中の人々のお腹を満たすのに十分なのです。
世界で飢餓が拡大する最大の要因は、先進国での食料資源の浪費にあるのではないでしょうか。
特に先進国での肉の消費拡大が、飢餓を促進している面があります。
穀物の3分の1が食用ではなく家畜のエサになり、しかも穀物を育てるために、膨大な水を必要とします。
このように世界では、飽食と飢餓が拡大し、食料不足に苦しむ現実があります。
そして、2050年、世界の7割の地域で地下水が枯渇すると推測されています。
私たちは、日常生活で大量のプラスティック製品を利用し、便利さを享受しています。
しかし、そのプラスティック消費による廃棄物が大きな環境問題になっています。
私たちがなにげなくポイ捨てしたプラスティック製品が、流れ流れて海岸へ大量に打ち上げられた光景を
目にします。
個人の小さな行為も集まれば膨大なものになります。
海洋プラスティックの年間廃棄推定量は、約3,000万トン。
ある調査では、死んだ海鳥のヒナの胃に、112個のプラスティック(体重の1割弱)が
見つかっています。
プラスティックには性能を高める添加剤が付加されているそうです。
添加剤が食物連鎖によって濃縮されるという実験結果も報告されており、地球全体の生態系そのものに
波及することが懸念されます。
私たちは、工場から放出された水銀が食物連鎖により深刻な健康被害をもたらした「水俣病問題」に
多くのことを学びました。
プラスチック汚染による健康被害が懸念される今こそ、水俣病問題の教訓を生かさなければなりません。
飽食とも思える食事や簡便な日用品に囲まれた豊かな生活。
しかし、その向こう側には、貧しく飢餓に苦しむ人々や公害によって健康を害し、
幸せを踏みにじられる現実があります。
人々はそれぞれに幸せを求め、明日への希望を持って暮らしています。
私たち一人ひとりは、その人権が尊重されるべき、「対等」の関係なのです。
「私とあなた」、「あなたと私」。対等であることをしっかり意識し、その輪を広げていくことが
求められています。
私自身も第一歩を踏み出し、そして行動に繋げなければと思っています。
2030年をゴールとするSDGsの目標は、世界の人々の人権に関わる緊急の課題です。
一人ひとりが、「対等の目」を持って行動すれば、その積み重ねが大きな力となり、
ゴールに近づくはずです。
最後に、マザーテレサの言葉をお贈りします。
私たちのすることは、大海の一滴の水にすぎないかもしれません。
でも、その一滴の水があつまって大海となるのです。