(2008年6月10日更新)
瀬戸町字早里2667番地(伊万里駅より車で15分)
平成8年(1996)3月1日指定
中央の木は県指定のイスノキ 周辺の木々が市指定の暖地海岸性林
日本の暖地(だんち)と亜熱帯(あねったい)には、常緑広葉樹(じょうりょくこうようじゅ)で占められる極相林(きょくそうりん)ができます。伊万里市も温暖な気候に恵まれ、常緑広葉樹の極相林ができる地帯に含まれます。日本の常緑広葉樹の葉は光沢があるので、照葉樹(しょうようじゅ)ともいいます。
早里地区には、佐賀県天然記念物に指定されている高木のイスノキ(マンサク科イスノキ属)を中心に常緑広葉樹の自然林があります。この林には、イスノキのほかに、高木ではマテバシイ(ブナ科マテバシイ属)、スダジイ(ブナ科シイノキ属)、アラカシ(ブナ科コナラ属)、タブノキ(クスノキ科タブノキ属)があります。小高木ではヤブツバキ(ツバキ科ツバキ属)、ヒサカキ(ツバキ科ヒサカキ属)、クロキ(ハイノキ科ハイノキ属)があります。低木ではクチナシ(アカネ科クチナシ属)があります。これらは、暖地の海岸で極相林を形成する典型的な樹種です。
一般的に、暖地の海岸は開発されやすく、常緑広葉樹の極相林を見ることができませんが、社寺林や崖地林として残されることがあり、早里地区の暖地海岸性林も、林内に「山神」が祀(まつ)られ、海食崖(かいしょくがい)の上にあることなど、周囲の開発から残された貴重な自然林といえます。
早里のイスノイキは佐賀県天然記念物に指定され、イスノキのまわりの樹木も、暖地の海岸に生育する林の典型例として貴重なので、伊万里市天然記念物に指定されています。
(「県指定天然記念物 早里のイスノキ」も参照下さい)