(2023年3月1日更新)
令和5年第1回定例会の開会にあたり、市政運営について所信の一端を申し述べますとともに、今議会に提案しました令和5年度当初予算及びその他の議案について、その概要をご説明申し上げます。
はじめに
昨年4月、市民の皆様の力強い激励と温かいご支援により、2期目の市政運営の負託を受け、早や1年が経とうとしております。
市長任期の1期目では、財政基盤の安定化や公共施設の再配置など山積する課題に目を逸らすことなく真正面から向き合い解決を図りながら、IT企業の誘致による雇用機会の創出や学校における1人1台の学習用端末の配備によるICT教育の充実、保育園とコミュニティセンターを複合化した多世代交流の促進による子育て環境の整備など、本市の成長の礎となる施策を全力で推し進めてまいりました。
2期目にあたっては、1期目の経験をもとに伊万里市の将来のあるべき姿を見据え、急激に変化する社会情勢から生じる幾多の困難にも果敢に挑み続ける強い決意と覚悟を持って、本市の更なる発展に向けて市民の皆様とともに着実に歩み続けているところであります。
市政における現状と課題
さて、市政運営を取り巻く社会経済情勢については、市内企業の大規模な設備投資に伴い地域経済の活性化が期待される一方で、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した原材料やエネルギーの価格高騰に加え円安の急激な進行等による歴史的な物価上昇などにより、今後の動向についての予測が困難な状況となっています。
また、エネルギーの安定的な供給が脅かされ世界的なエネルギー危機とも言われる中で、世界の諸問題の解決を目指すSDGsの取組の一つである脱炭素社会の構築が、私たちの生活に直結した一人ひとりが真剣に取り組むべき課題として改めて顕在化しています。
さらに、喫緊の最重要課題である少子化については、令和4年の年間出生数が全国で初めて80万人を割り込み本市でも過去最少の370人となるなど、想定をはるかに超えるスピードで進行しており、人口減少を加速させる最大の要因となっています。
新型コロナウイルス感染症については、感染拡大から早3年、中学や高校にコロナ禍の当初に入学した子どもたちが卒業を迎えます。まさに不安で苦しい中で、工夫を重ねて乗り越えてきた学校生活であったと思います。この間、私も感染症から市民の皆様の命と健康を守り、地域経済と産業を支える取組に全力を注いでまいりましたが、感染症に翻弄されたこの「守りの3年間」に区切りをつけ、ウィズコロナ、さらにはアフターコロナという次なる段階へと踏み出すべき時が到来しています。
市政運営の基本方針
このため、私は、人口減少と少子化対策を最大の課題と位置付け、これまで取り組んできた子育てを支援する施策や移住・定住を促進する施策の更なる拡充が必要だと考えています。
加えて、コロナ禍で大きく変化した常識や生活様式に適応しながら、落ち込んだ交流人口の回復と拡大、デジタル技術を活用した産業の振興などによる地方創生の推進、さらには世界規模で求められている脱炭素社会の構築など、直面する諸課題についても未来への展望を持って取組を展開していく必要があると強く感じています。
課題の克服を目指す強い思いは、成長へのエネルギーであります。
このエネルギーを市民の皆様と熱く燃やしながら、進取の気性を持って、伊万里市をまだ見ぬ高みへと押し上げる挑戦を絶やすことなく、いつまでも安心して暮らすことができる伊万里市づくりを進めてまいりたいと、決意を新たにいたすところであります。
私は、人口減少に歯止めをかけ、九州西北部における活力創造拠点として持続的な発展を目指し、「第6次総合計画後期基本計画」で重点施策に位置付けた「いまりSTEP UPプロジェクト」の2023年版に取り組みます。
子育て支援、デジタル化の推進、産業振興、港湾機能の拡充、SDGs推進の5つの施策を市民の皆様とともに力強く進めることにより、市民一人ひとりがいきいきと活躍し、心から幸福だと実感することができる伊万里市の実現を目指してまいります。
特に、子どもは希望の泉であり発展の原動力となることから、市を挙げての子育て応援の取組は本市を将来の飛躍へと導く大切な投資であると考えており、若者が希望にあふれ子どもたちの笑顔があふれるまちづくりに、更なる力を注いでまいります。
市政運営の基本方針
私が次の1年間で取り組む「いまりSTEP UPプロジェクト」2023年版では、5つの都市像の実現に向けた具体的な取組を進めます。
第1に、「未来を託す子育て応援都市」であります。
子どもの成長と子育てを「支える」、若者が伊万里で子育てしたいと「感じる」、子育ての場として「選ばれる」の3つの視点から、「子育て・若者成長応援パッケージ」を構築し推進してまいります。
まず、子どもの成長と子育てを「支える」取組として、従来からの子どもの医療費の一部助成に加え、高校生等の入院費の一部助成、就学前児童の医療費について県内の市では初めてとなる個人負担分の実質無料化を実施するほか、学校や保育園等の給食費の高騰分を補助するなど、更なる経済的負担の軽減に取り組みます。
また、妊娠期から出産、子育て期までの一貫した伴走型の相談支援に合わせ出産・子育て応援給付金を給付するほか、子どもの健康や成長の記録をデータ化し妊娠週数や子どもの年齢に応じた最適な情報を提供できる母子健康手帳アプリの導入などデジタル技術の活用について検討を進めます。
次に、若者が伊万里で子育てしたいと「感じる」取組として、学校において、1人1台の学習用端末やデジタル教材を活用し、一人ひとりの理解度に応じた創造性を育むICT教育を推進するほか、学校の外でも、子どもがSDGsを身近に感じられる活動の機会を提供するなど、経験や体験の場が充実し子どもが自らの力で育つ「子育ち」を支援するまちづくりを進めます。
佐賀県が設置を進める県立大学を誘致するため、半導体、造船、IT関連企業など50の市内企業等からなる高等教育機関誘致推進協議会を設立し、県知事へ「理系分野の県立大学の設置」と「理系人材を育成するための高等学校教育の充実」を要望しました。高校卒業後の若者の市外流出が続く本市にとって高等教育機関の誘致は悲願であり、他市にない強みである公民連携による誘致を推し進め、産業の発展に不可欠な専門性が高く実践的な教育を受けることができる環境の整備に努めます。
次に、子育ての場として「選ばれる」取組として、若者が必要とする伊万里ならではの子育て情報をSNSや情報誌等を活用し機を捉えわかりやすく発信するほか、伊万里ファミリーパークにおけるインクルーシブ遊具の設置や公園の長寿命化計画に基づく遊具の更新等により公園の再生に取り組むなど、子育て環境の充実に努めてまいります。
第2に、「未来を先取るデジタル都市」であります。
国が取り組む「デジタル田園都市国家構想」を強い追い風として、デジタルの力により地方創生の取組を加速し深化させる伊万里市版のデジタル田園都市構想総合戦略を策定します。市民生活のあらゆる場面でデジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)を強力に推進することにより、産業の振興や市民サービスの向上、地域の活性化などに取り組み、誰もが便利で快適に暮らせる社会の実現を目指します。
デジタル化による産業の振興として、本年10月からインボイス制度が開始される中で会計システムの導入をはじめ企業の経営改善に向けたDXの取組を促進し、農業においては、デジタル技術を活用した作業の省力化などによる生産性の向上や担い手不足の解消を図るためのスマート農業の導入促進のほか、観光では、位置情報を活用した人の流れや宿泊予約状況などのビッグデータを分析し結果に基づいた戦略的な施策を展開します。
また、デジタル化による市民サービスの向上として、証明書等の申請手続きや集団健診等の予約受付、アンケートなどのオンライン化の推進に加え、従来、市の複数の窓口での申請が必要であった行政手続きについて、業務手順を見直し、一元化した窓口で対応し手続きに要する時間の短縮につなげる「書かない窓口」の導入について検討を進めてまいります。
第3に、「競争に打ち勝つ産業都市」であります。
福岡市と西九州自動車道で直結する利点を最大限にいかし、伊万里焼や伊万里牛、伊万里梨などの伊万里ブランド、また、造船や半導体関連企業が集積する本市のポテンシャルの高さをアピールし、九州西北部における活力創造拠点として地域の更なる活性化を図ります。
特に、観光分野において、従来からある本市の観光資源の価値を再評価し今の時代に合った新たな魅力を加える「リブランディング」に取り組むほか、本市の観光振興の中心的な役割を担い旅行事業の取り扱いを開始する観光協会を強力に支援し本市への誘客活動の拡大に取り組みます。
また、大川内山地区の新たな観光の魅力づくりとして低速度の電動車を活用した移動サービスである「グリーンスローモビリティ」の導入を進めるなど、時流を捉えたシティプロモーション活動を展開します。
さらに、本市の公共交通の結節点である伊万里駅において、高校生等の駅利用者の休憩やまちづくり団体等のイベントに利用できるフリースペースの設置をはじめ、駅周辺における民間のノウハウや資金を活用した活性化プロジェクトの推進のほか、企業委託型の地域おこし協力隊が行う空き店舗へのIT企業等の事務系企業の誘致や起業への支援による若者の就業機会の創出などに取り組んでまいります。
第4に、「世界に向けた港湾都市」であります。
博多港以西で最良の港である伊万里港について、浦ノ崎地区の開発を促進するため、次世代エネルギーの切り札として世界が注目する洋上風力発電の関連企業の誘致等に向けた協議会を設立し、市内企業や関係機関との連携による技術的な情報共有を行うほか、セミナー等の開催により誘致への機運の醸成に努めます。
また、コンテナ貨物の取扱量の増加を図るため、東南アジアや台湾との直行航路の誘致など佐賀県伊万里港振興会の取組を支援するほか、将来における伊万里港の開発を見据えた中長期ビジョンの策定や港湾計画の改訂に佐賀県と一体になって取り組みます。
さらに、貨物輸送のトラックから船舶等への転換が進む中で、主要な港を結ぶ新たな航路の開設等に向けた調査研究に取り組むほか、伊万里ファミリーパークやその周辺における海に親しむ公園の整備について検討を進めてまいります。
第5に、「SDGs推進都市」であります。
本市が取り組む地球温暖化対策の実行計画を策定するほか、市民図書館を環境学習の拠点となる「カーボン・ニュートラル・ライブラリー(CNL)」と位置付け太陽光パネルの設置や電気自動車の導入を図るなど、脱炭素社会の実現に向けた取組を展開します。
また、長年の課題である散弾銃射撃場の汚染された土壌の処理を開始するほか、移住の促進と定住人口の確保については、本市のトータルプロモーションの柱に位置付け、移住に関する情報発信を強化し、引き続き移住奨励金の交付や移住体験ツアーを開催するなど、移住者のニーズを把握し定住を促す活動を強化します。
さらに、東山代町川内野地区を拠点に活動している地域おこし協力隊員や市街地等で大学生を中心とする関係人口の創出活動を展開している地域活性化起業人など民間人材による新たな視点からの地域課題の解決や賑わいづくりを促進し、将来にわたって安心して暮らし続けることができるまちづくりを推進します。
SDGsに掲げられた17の目標については私の市政運営の方向性と合致するところであり、伊万里市版SDGsの取組を展開し、将来世代に引き継いでいくことのできる持続可能な伊万里市づくりに市民の皆様とともに邁進してまいります。
当初予算編成の考え方
歴史的な物価上昇等により社会経済情勢の先行きが見通せない中、社会保障費など義務的経費が年々増加する状況等を踏まえ、将来にわたり安定した財政運営を行うことが不可欠です。
本市では、国の財政支援の強化やこれまでの財政健全化の取組などの成果に加え、市内企業の大規模な設備投資の効果等による市税の大幅な増加見込みやふるさと応援寄附金による収入の堅調な伸びなど、財政状況は好転の方向にあります。
このため、財政の健全性には確実に配慮をしながら、伊万里市の将来の発展に真に必要な事業を選択し、通学路となる道路の補修や子どもの医療費の助成の拡大、消防団員の待遇改善などこれまで充分な予算配分ができなかった事業にも積極的に取り組んだ予算編成としたところです。
この結果、令和5年度の当初予算の規模は、
一般会計 316億9,600万円
特別会計 148億9,550万2千円
企業会計 80億7,541万5千円 としております。
当初予算の主な内容
以下、今回提案しました予算の主な内容について、重複を避けながら、総合計画で定めたまちづくりの目標に沿ってご説明いたします。
はじめに、安心で健やかな暮らしづくりについて申し上げます。
地域福祉の充実については、ボランティアの育成などに取り組む社会福祉協議会の運営や市民の皆様の身近な相談窓口となる民生委員・児童委員の活動を支援するほか、地域における支援体制の確保として災害時における避難行動要支援者に関する情報の把握に努めます。
高齢者支援の充実については、高齢者が住み慣れた地域で安心して健やかに暮らすことができる地域づくりを進めるため、第6次高齢者福祉計画と第9期介護保険事業計画を策定するほか、いきいき百歳体操など市民が主体となった介護予防活動の支援や福祉緊急通報システムの対象者の拡大等に取り組みます。
また、老人クラブやシルバー人材センターの運営を支援し、高齢者の生きがいづくりと社会参加を促進するほか、将来における介護職の人材確保に向けて、中学生を対象に介護職を紹介する講話の実施等に取り組みます。
障がい者支援の充実については、障がい福祉サービス等の提供体制や自立支援給付等の円滑な実施を確保するため、第7期障がい福祉計画及び第3期障がい児福祉計画を策定します。
また、障がいのある人の地域における自立した生活を支援するため、介護給付や訓練等給付といった障がい福祉サービスなどを適切に提供し、障がいを軽減するための医療費や補装具の購入費用を助成するほか、保育園や小学校における医療的ケア児の受入体制の整備や医療的ケアを行う家族の身体的・精神的負担を軽減するサービスの利用促進に努めます。
子育て支援の充実については、保育サービスの質の向上や適切な給付など切れ目のない子育て支援に関する第3期子ども・子育て支援事業計画の策定に着手するほか、ヤングケアラーに関する周知を図りながら支援を必要とする子どもの実態を把握するための調査を進めます。
また、新たに養育費の確保につながる公正証書等の作成に関する助成を行うなど、ひとり親世帯の経済的な負担の軽減に努めます。
さらに、保育園等の送迎バスの安全対策に関する補助に取り組むなど、安心して子どもを育てることができる保育環境の整備を進めます。
留守家庭児童クラブでは、クラブの利用を希望する児童の増加への対応として支援員を増員するなど、受入体制の充実に努めます。
低所得者支援の充実については、生活困窮者の就労準備や家計改善の支援に取り組むなど、自立に向けた支援体制の充実を図ります。
保健医療体制の充実については、すべての妊婦や子育て世帯が安心して出産や子育てができる環境づくりを目指し、妊婦や乳幼児の疾病の予防と早期発見を図るため、健康診査の実施や費用の助成に取り組みます。
また、生涯を通して歯の健康を保つため保育園での歯磨き指導や新たに妊婦を対象にした歯科健診を実施するほか、骨髄等を提供するドナーについて、経済的な負担を軽減し骨髄等の移植を促進するための助成金を交付します。
医療体制の充実について、地域医療の中核的な役割を担う伊万里有田共立病院の円滑な運営を支援するほか、医師会等と連携し休日・夜間急患医療センターの運営等による緊急医療体制の確保に努めます。
二つ目に、創造的で心豊かなひとづくりについて申し上げます。
学校教育の推進については、中学校の外国語指導助手(ALT)を海外から招き国際感覚を身に付けた子どもの育成に努めるほか、教員のワーク・ライフ・バランスを実現し子どもと向き合う時間を確保するため部活動の地域移行を推進するなど、未来を生きる子どもの教育環境の充実に努めます。
また、東山代小学校とコミュニティセンター等の複合化による改築をはじめ、学校のトイレの洋式化や特別教室等へのエアコンの設置、伊万里中学校の剣道場の建設など、児童生徒が安心して学習に取り組むことができる教育施設の整備や維持管理に努めるほか、アレルギー対策を含めた安全な学校給食を提供するための学校給食センターの大規模改修に着手します。
生涯学習の推進については、郷土意識の醸成や地域づくりを担う人材を育成するため、さわやか講座や子ども伊万里塾の開催などにより「伊万里学」の充実に努めます。
市民図書館では、生涯学習の拠点として、家読の推進やブックスタートの実施、調べる学習コンクールの開催に取り組むほか、開館30周年となる令和7年に向け、引き続き施設・設備の改修を進めます。
青少年の健全育成の推進については、SNSの普及など社会環境の変化により複雑化している子どもや家族の抱える悩みに関する相談体制の充実のほか、関係機関と連携し児童生徒の発達段階に応じた情報モラル教育の強化に努めます。
文化芸術・スポーツの振興のうち、文化芸術の振興については、市美術展や市民音楽祭の開催をはじめ、多文化共生の地域づくりを推進するため、市内に住む外国人を対象とした日本語教室を開催するなど外国人住民と市民との交流を図るほか、友好交流都市である大連市について、新型コロナウイルス感染症の影響により制限されていた訪問団派遣の再開に向けて計画を進めます。
スポーツの振興については、第78回国民スポーツ大会・第23回全国障害者スポーツ大会(国スポ・全障スポ)の開催に向け、ホッケーや軟式野球など4競技のリハーサル大会を関係団体や市民と一丸となり開催するほか、老朽化している国見台プールを解体し公園の利用者の安全を確保するなど、計画的な体育施設の改修や適切な維持管理に努めます。
人権教育と啓発の推進については、地域や関係機関・団体と連携し、同和問題講演会の実施や本市独自の同和問題啓発番組の放映、人権啓発映画の上映会の開催などの啓発活動を展開するほか、高校生を主体としたハートフルフォーラムを実施するなど、人権尊重の意識の高揚を図ります。
文化財の保護については、国史跡大川内鍋島窯跡の発掘調査結果に関する報告書の取りまとめをはじめ、鍋島や古伊万里などを展示する伊万里・鍋島ギャラリーのPR動画の制作に取り組むほか、市内の団体が取り組むカブトガニやタイワンツバメシジミの保護活動などを支援します。
三つ目に、活気あふれる産業づくりについて申し上げます。
農林水産業の振興のうち、本市の主要な産業である農業については、地域農業に携わる人材を確保するため新規就農者への支援を行うほか、収益性の高い農業を確立するための収量や質の向上に必要な機械の整備への支援など、生産性の向上による農家の経営の安定化を図ります。
また、中山間地域等直接支払交付金を活用し耕作放棄地の発生防止や農地の適正な管理に努めるほか、優良な農地の確保や保全を適切に進めるため、農業振興地域整備計画の見直しを行います。
畜産業については、特にふるさと応援寄附金の返礼品や伊万里ブランドの維持に欠かせない重要な資源である伊万里牛について、JA伊万里や伊万里牛振興会等との連携による銘柄の確立や販路の拡大を進めるほか、肉質の向上に向けた取組を支援します。
林業については、間伐材の搬出や作業路の開設に要する費用を支援し、森林整備の促進や所有者の負担軽減を図ります。
また、森林環境譲与税を活用し、林業経営の効率化を図るためのGPS測量機の導入への助成のほか森林整備を担う人材育成や木材の利用普及の取組等を支援します。
水産業については、環境や生態系を維持し安心して漁業を行うことができる海域や安定的な漁獲量の確保を図るため、漁業協同組合が行う稚魚の放流や漁業者が行う漂流物の回収などの活動を支援します。
また、波多津漁港の適正な維持管理に努めるほか、漁港に設置している水銀灯のLEDへの更新を行うなど利用者や周辺住民の生活環境の向上を図ります。
商工業の振興については、地域の特性や潜在能力をいかした創業を促進するため、伊万里商工会議所が取り組む創業塾の開講支援と相談体制の強化を図るほか、伊万里鍋島焼の伝統技術の継承や後継者育成など伊万里鍋島焼協同組合の取組を支援します。
観光の振興については、10年ぶりに一新する観光パンフレットとポスターをはじめSNS上で大きな影響力を持つインフルエンサーなど様々な媒体を活用し本市の魅力を発信することにより、伊万里ブランド等の国内外における更なる認知度の向上に努めます。
また、国スポ・全障スポの開催に向け市内の老朽化した案内看板を改修するなど、観光客の受け入れ体制の整備を図ります。
さらに、来訪者が減少している道の駅伊万里「伊万里ふるさと村」について、JA伊万里が委託して行う、来訪者の動向や目的等を把握し分析するための調査や再生に向けた計画策定など、観光拠点施設として魅力度を高める取組を支援します。
港湾の活用については、伊万里港の国際的な物流拠点としての発展を目指しコンテナターミナルの機能拡充等を図るため、佐賀県や佐賀県伊万里港振興会との連携による国内外の荷主や船会社へのポートセールスを展開し、伊万里港の認知度の向上や利用促進を図ります。
四つ目に、生活の基盤づくりについて申し上げます。
道路・交通体系の整備については、学校から半径約500m以内の通学路における防護柵等の設置や市道提川・川西線の歩道の整備などを進めるほか、舗装個別施設計画に基づく市道の補修、市道重橋・中山線の改良、老朽化が進行する橋りょうの計画的な補修による長寿命化、道路パトロールの人員体制の強化などに取り組み、道路利用者の安全確保を図ります。
西九州自動車道について、市内全区間の早期開通を目指して、地元期成会等と連携し関係機関への提案活動を積極的に推進します。
公共交通について、車を運転しない高齢者や学生、障がいのある人などの交通弱者をはじめとする市民の皆様の移動手段を確保するため、市街地などを巡回するいまりんバスの運行をはじめ、民間のバス事業者や鉄道事業者への支援のほか、地域が主体的に取り組むコミュニティバスやデマンドタクシーの運行を支援するなど、地域の実情や利用者のニーズに応じた交通網の維持や確保に努めます。
また、鉄道の利用を促進するため、イルミネーション列車等の企画列車の運行に合わせたイベントへの補助や小中学生による絵画コンクールの開催のほか、保育園行事等における鉄道利用への補助などに取り組みます。
上下水道の整備のうち、上水道については、水道施設の更新計画に基づき有田川浄水場の排水処理施設や老朽化した管路を更新するなど、安全で安心な水道水の安定的な供給に努めます。
また、下水道については、公共下水道のストックマネジメント計画に基づき浄化センターや中継ポンプ場の設備を更新するほか、宿地区マンホールポンプの機械・電気設備を更新するなど、下水道施設の適切な維持管理に努めます。
さらに、公共下水道と農業集落排水の処理区域外においては、引き続き浄化槽の設置費用の一部を補助することにより普及を促進します。
都市空間の形成については、伊万里市景観計画に基づく景観づくりを推進するほか、中心市街地に重点を置き将来の都市像を見据えた都市計画マスタープランと立地適正化計画の策定に着手します。
また、市内各地の公園について、安全かつ快適に利用できる市民の憩いの場となるよう、都市公園や自然公園など全ての公園を一元的な管理へ移行し効率的で効果的な維持管理に努めます。
住宅施策の推進については、市営住宅の排水管やガス管の改修に取り組むなど、施設の長寿命化に努めます。
また、市内で増加傾向にある空き家について、法律や条例に基づく所有者への指導や助言をはじめ、解体や家財処分に関する補助、市外在住者のUターンに伴う実家の改修の補助のほか、空き家情報バンクに登録された物件を見学する際の建築士との相談の支援などにより、空き家の発生を抑制します。
五つ目に、住みよい環境づくりについて申し上げます。
生活環境の保全については、地球温暖化を防止するための脱炭素社会の実現に向け、公用車の更新に併せた電気自動車の導入を進めるほか、植物により直射日光をさえぎるグリーンカーテンの普及等を促進します。
また、一般廃棄物を適正かつ衛生的に処理するため、さが西部クリーンセンターの運営を支援するほか、環境センターにおいてビンやペットボトルなどの再資源化や廃止した焼却施設等の適切な解体を進めます。
防災体制の充実については、多発する集中豪雨に対応し浸水などによる被害を軽減するため、黒川町浦分地区の排水機場の新設や松島雨水ポンプ場の排水ポンプの更新を行うほか、河川改修や崩壊の恐れがある危険な急傾斜地の対策工事を行うなど、災害による被害の軽減や防止に努めます。
また、防災行政無線の適切な運用に加え英語やインドネシア語など多言語による情報の提供等により、災害発生時の迅速かつ確実な災害情報の伝達に努めます。
さらに、火災や自然災害から市民の生命や財産を守るため、伊万里・有田消防組合の運営を支援するほか、消防団員の出動報償金や報酬の増額、雨衣等装備品の充実による待遇の改善と団員の確保に努めます。
また、ため池の決壊時の浸水範囲等を網羅したハザードマップの作成を進めます。
暮らしの安全・安心の確立については、自動車の運転者を対象にした交通安全の啓発活動を積極的に推進するほか、高齢者や子どもを対象とした交通安全教室の開催等により市民の交通安全意識の向上を図ります。
また、成人年齢の引き下げに伴う若者のインターネットトラブルの未然防止策などについて、消費生活相談員による出前講座等の啓発活動を推進するほか、弁護士や司法書士等による専門的な相談窓口を開設するなど、複雑化し多様化する市民の消費生活相談に対応する相談体制の充実を図ります。
最後に、自立と協働のまちづくりについて申し上げます。
市政に関する情報共有と市民参画の促進については、広報紙や市ホームページ、SNSなど多様なメディアや情報機器を活用した迅速で丁寧な情報発信に努めます。
また、市民の意見を市政に反映させる「伊万里っ子ポスト」やパブリックコメント等の実施をはじめ、出前講座による学習機会の提供、インターネット上で行政や防災に関する情報を地図情報と併せて把握ができるシステムの導入などにより、市民の主体的な行政運営への参画を促進します。
市民との協働によるまちづくりの推進については、地域づくり活動に取り組む各地区のまちづくり運営協議会やNPOなどの団体を支援するほか、地域課題の解決を図るために集落支援員を配置するなど、活力ある地域づくりを促進します。
男女協働参画社会の形成については、第5次男女協働参画基本計画に基づき女性が活躍する地域社会を確立するため、男女協働参画の視点を取り入れた講演会や研修会の開催などあらゆる世代へ理解を広げる学習機会の提供に努めるほか、新たにNPO法人との連携による女性相談の体制の充実や相談窓口の周知拡大を図ります。
自立した行財政運営の確立については、過去最高額を更新したふるさと応援寄附の更なる促進を図るほか、市税の徴収方式を集合徴収から税目ごとに徴収する単税徴収へと変更するため、納期の変更の周知と併せ口座振替等の収納方法の周知を図るなど自主納付の一層の促進に努めます。
また、公共建築物等個別施設計画に基づき公共施設の統廃合や集約化を進めるほか、市役所本庁舎の老朽化対策として空調設備や照明設備の改修についての調査設計に取り組みます。
移住・定住の促進については、多様な情報媒体を活用した移住希望者への情報発信や都市部での移住相談会の開催に取り組むほか、移住・定住につなげる婚活の促進について、成婚後に伊万里に住みたいと感じてもらえる地域の魅力があふれたイベントの実施や登録者へのきめ細かなサポート等により、登録者や成婚者の増加に努めます。
(その他の議案については省略)
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